福島・チェルノブイリ・スリーマイル島など世界の主要原発事故を解説
INES(International Nuclear and Radiological Event Scale)は、原子力・放射線事故の深刻さを一般に伝えるためにIAEAが策定した7段階の評価尺度です。
| レベル | 区分 | 基準の概要 | 代表例 |
|---|---|---|---|
| 7 | 深刻な事故 | 大量の放射性物質が外部に放出 | チェルノブイリ・福島 |
| 6 | 大きな事故 | 放射性物質の大規模な外部放出 | キシュテム事故(露) |
| 5 | 施設外へのリスクを伴う事故 | 周辺地域への限定的な影響 | スリーマイル島 |
| 4 | 施設内の事故 | 施設内の放射性物質漏洩 | 東海村JCO臨界事故 |
| 3〜1 | 重大な異常〜逸脱 | 軽微〜重要な規制逸脱 | 各国の炉内インシデント |
| 0 | 尺度以下 | 安全上の重要性なし | 通常点検・軽微な不具合 |
東北地方太平洋沖地震(M9.0)とそれに伴う大津波により、福島第一原発の外部電源と非常用電源が喪失。原子炉の冷却機能が失われ、1・2・3号機がメルトダウン(炉心溶融)、1・3・4号機で水素爆発が発生しました。
大量の放射性物質が大気・海洋に放出。主な放射性物質はヨウ素131・セシウム134・セシウム137など。政府は最大20km圏内の住民約15万人に避難指示を発令しました。
福島県の多くの地域では放射線量が低下し、避難指示は順次解除されています。原子炉内の溶融燃料デブリの取り出しが進行中で、廃炉作業は2051年頃の完了を目標としています。処理水の海洋放出(ALPS処理水)は2023年8月に開始されました。
旧ソビエト連邦(現ウクライナ)のチェルノブイリ原発4号炉が安全試験中に制御不能となり、爆発・火災が発生。放射性物質が10日間以上にわたって大気中に放出され、ヨーロッパ全域に拡散しました。
直接的な被害(急性放射線症候群)で31人が死亡。WHO・IAEAの評価では長期的ながんによる死者は最大4,000人と推計。30km圏内の約35万人が強制退避しました。
| 比較項目 | チェルノブイリ | 福島第一 |
|---|---|---|
| 事故年 | 1986年 | 2011年 |
| INES評価 | レベル7 | レベル7 |
| 原因 | 人為的操作ミス+設計欠陥 | 津波による電源喪失 |
| 炉の型 | RBMK型(黒鉛減速) | BWR型(軽水炉) |
| Cs-137 放出量 | 約85,000 TBq | 約1万 TBq(推計) |
| 避難者数 | 約35万人(強制退避) | 約16.5万人(最大) |
米国ペンシルベニア州のスリーマイル島(TMI)原発2号炉で冷却水が失われ、炉心の一部が溶融。放射性ガスが少量放出されましたが、格納容器は維持され大規模な放射性物質の外部放出は回避されました。
周辺住民への健康影響は小さかったと評価されていますが、原発への信頼を大きく損ない、米国での原発建設が長期停滞する契機となりました。
茨城県東海村のJCO核燃料加工工場で、作業員が規定外の手順でウラン溶液を沈殿槽に投入した結果、臨界状態(核分裂連鎖反応)が発生。中性子線・γ線が約20時間にわたって放出されました。
直接作業に関わった3名が大量の中性子線を浴び、うち2名が急性放射線症候群で死亡。日本の民間施設では唯一の被ばく死亡事故です。半径350m以内の住民が避難、10km圏内の住民に屋内退避が求められました。
| 年 | 場所・施設 | 国 | INES | 概要 |
|---|---|---|---|---|
| 1957 | ウィンズケール(セラフィールド) | 英国 | 5 | 原子炉火災・放射性物質放出。Cs-137・I-131など |
| 1957 | キシュテム(マヤク) | ソ連 | 6 | 廃液タンク爆発。大量の放射性物質放出 |
| 1979 | スリーマイル島 | 米国 | 5 | 炉心溶融。格納容器は維持 |
| 1986 | チェルノブイリ | ソ連 | 7 | 史上最大級。爆発・火災・大量放出 |
| 1999 | 東海村JCO | 日本 | 4 | 臨界事故。2名死亡 |
| 2006 | フォルスマルク | スウェーデン | 2 | 外部電源喪失。自動停止で炉心損傷は免れた |
| 2011 | 福島第一原発 | 日本 | 7 | 津波による全電源喪失・炉心溶融・水素爆発 |