福島第一原発の処理水の安全性・放出基準をわかりやすく
福島第一原発では、原子炉建屋に流れ込んだ地下水や雨水が溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)に触れることで「汚染水」が発生し続けています。この汚染水を多核種除去設備(ALPS:Advanced Liquid Processing System)で処理し、トリチウムを除く62種類の放射性物質を国の規制基準未満まで取り除いたものが「ALPS処理水」です。
| 区分 | 状態 |
|---|---|
| 汚染水 | 燃料デブリに触れた水。多種類の放射性物質を高濃度で含む。 |
| ALPS処理途上水 | ALPS処理したが一部核種が基準を超えるもの。再処理の対象。 |
| ALPS処理水 | トリチウム以外の62核種を規制基準未満まで除去した水。放出対象。 |
ALPSではトリチウム(三重水素)だけは水(H₂O)の一部として存在するため、技術的に分離が難しく除去できません。そのため放出前に大量の海水で希釈し、濃度を下げてから放出します。
トリチウムは水素の放射性同位体(三重水素、記号 ³H)で、次のような性質があります。
世界中の原子力発電所や再処理施設も、通常運転でトリチウムを含む水を海や河川へ放出しており、これは特別なことではありません。
ALPS処理水は、トリチウム濃度を放出前に大量の海水で希釈します。日本が設定した放出基準と、各種基準を比較すると次のようになります。
| 基準 | トリチウム濃度 | 備考 |
|---|---|---|
| ALPS処理水の放出濃度 | 1,500 Bq/L 未満 | 放出前に海水で希釈した目標濃度 |
| 国の排出規制基準(告示濃度) | 60,000 Bq/L | 放出濃度はこの40分の1 |
| WHO 飲料水基準 | 10,000 Bq/L | 放出濃度はこの約7分の1 |
さらに、年間に放出するトリチウムの総量は22兆Bq(22兆ベクレル)未満に管理されます。これは事故前の福島第一原発の放出管理値と同程度です。国際原子力機関(IAEA)は、日本の放出計画が国際的な安全基準に合致しているとの包括報告書を公表しています。
福島第一原発は年間のトリチウム放出量を22兆Bq未満に管理していますが、これは世界の原子力施設と比べて特別多い量ではありません。原子力産業新聞(JAIF)の取材によると、海外の原発では福島第一を上回るトリチウムを日常的に海洋へ放出しています。
| 施設 | 国 | 年間トリチウム放出量(福島第一比) |
|---|---|---|
| 福島第一原発(ALPS処理水) | 日本 | 最大22兆Bq(基準・1倍) |
| 古里原発 | 韓国 | 福島第一の約2倍 |
| 陽江原発 | 中国 | 福島第一の約5倍 |
| ピッカリング原発 | カナダ | 福島第一の約21倍 |
さらに、使用済み核燃料の再処理施設であるフランスのラアーグ再処理工場やイギリスのセラフィールド再処理工場は、通常の原発よりもトリチウムを多く含む液体を扱うため、放出量は原発の比ではなく桁違いに大きくなります。福島第一のALPS処理水は、こうした海外の原発・再処理施設の実績と比べても低い水準で管理されています。
出典:原子力産業新聞「福島第一からのトリチウムの放出量は、海外と比べて多いのですか?」(茨城大学 鳥養祐二教授監修)
陸上の空間放射線量(μSv/h)は処理水放出によって変化するものではありませんが、福島県を含む全国のリアルタイム放射線量は 福島県の放射線量ページ や 全国マップ でいつでも確認できます。
トリチウム以外の放射性物質を規制基準未満まで除去し、トリチウム濃度を1,500Bq/L未満(国基準の40分の1、WHO飲料水基準の約7分の1)に希釈して放出しています。IAEAも国際安全基準に合致すると評価しています。
放出口周辺の魚介類は継続的にモニタリングされ、トリチウム濃度が公表されています。これまでの測定値は国の基準値を大きく下回っています。最新値は水産庁や東京電力の公表データで確認できます。
海洋へ希釈放出されるトリチウムが弱いβ線であることもあり、陸上の空間放射線量(μSv/h)が放出で上昇することは想定されていません。cocoradの全国マップでも平常値の範囲で推移しています。
福島第一のALPS処理水は年間放出量を22兆ベクレル未満に管理していますが、海外と比べて特別多い数値ではありません。原子力産業新聞(JAIF)によると、カナダのピッカリング原発は福島第一の21倍、中国の陽江原発は5倍、韓国の古里原発は2倍のトリチウムを海洋へ放出しています。フランスのラアーグ再処理施設など再処理工場はさらに規模が大きく、原発よりも桁違いに多い量を放出しているのが一般的です。